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土の消毒

昨年使用した種まき用の土を、消毒するために火を起こして煮沸します。土を消毒するだけでなく、いっしょに雑草の種も死滅させます。隠れているヨトウムシなど害虫にも悪しからず死んでもらいます。薪ストーブで土を沸騰させては古い土と入れ替え、その作業を何度も繰り返します。無菌状態の土は善玉菌も殺してしまいますが、育苗期間だけ使う培養土なのでかまいません。

通常、というか慣行農法でも土壌殺菌はマストですが、専用の薬品を使うのが常識です。土壌の完全殺菌にはクロールピクリンという劇薬で消毒するのですが、かつて農業大学校の訓練(?)でピクリンの散布実習を受けたことがあります。時限仕掛けになった装置を畑の各所に設置して、任務完了したら一斉にみんなで走って畑から逃げます。逃げ遅れると病院行き。そんな危険なめに遭いながらも、まじめな農家さんはピクリンやDD、ネマトリンなどを駆使して「きれいな農産物」を作らされています。わたしは「不真面目」で「非常識」なニセ百姓なので、自分が危険な思いをしてまで、農薬をまくつもりがまったくありません。

ちなみに、わたしは農薬が全部悪いとは思っていません。農薬がないと、おそらく人類の多くは飢え死にしてしまうことでしょう。そもそも農薬は良い悪いではなく、必要か不要かで考えています。そしてわたしの場合は農薬が必要になるような野菜は作りませんし、もし必要ならば必要なくなる方法をせっせと考えます。種まき用の土も、そこらの土で育苗したら病気が伝染するかもしれないですし、雑草の芽が出まくって育苗どころではありません。なので、通常は前述の農薬などで殺菌された「育苗用の土」を使用する農家がほとんどです。家庭菜園ですらホームセンターで売っているそういった土を使います。現実の話、育苗用の土は「必要」です。ですが、必ずしも農薬を使う必要はありません。

というわけで、原始的な土壌消毒方法。農薬を使わなくてもアルマイトの鍋ひとつで土を煮込んでしまえば消毒はできます。ただ、面倒くさいだけです。1、2枚分の土を煮沸するだけならわけないのですが、うちでは育苗トレー数十枚分をコツコツ煮沸するので、非常に面倒くさい。そのいっぽうで薪ストーブの炎をしばし呆然と見つめている時間が、とても贅沢に感じられたりもしています。

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電子レンジ 焼き芋

西原村のサツマイモ農家、田上さんが電子レンジで「チン」するだけの焼き芋を作っていて、いまこれが「すごい売れている」とのことでサンプル品を阿蘇まで持ってきてくれました。シルクスイートとベニハルカの2種類あって、いただいたシルクスイートを早速電子レンジでチンしてみました……ほう! これは、おいしい。焼き芋というよりも蒸し芋に近いのかもしれませんが、水分は芋自身持っている水分だけで蒸されているので味が蒸し芋のようにぼやけず、焼き芋の味を再現しています。とにかく元の芋が田上家伝来の栽培方法で作られたホクホクで甘い芋なので、どうやってもおいしい芋なのですが、これが都会の主婦などにウケている模様。

西原村の田上さんは県立農大で一緒に研修を受けて以来の知り合いで、私ら夫妻を気にかけてくれて、いろいろ面倒を見てくれている熊本の恩人のひとり。私たちがサツマイモ栽培をしているのをご存知なので、今回もこの電子レンジ「チン」芋を紹介してくれたのです。頭が下がる思いですが、PACAFARMはサツマイモ畑を返却したので、今年は芋として売るほどのサツマイモ栽培計画がないのです。機械化してこなかったツケもあって、体力的にも厳しいというのが主な理由で栽培を断念。

そこで、田上さんに「紫芋も栽培してみませんか」とご提案し、本年は無農薬でパープルスイートロードを作ってもらうことにしました。形の綺麗な芋は「チン」にしてもらって、見た目が良くないものや大きすぎるものを譲っていただき、PACAFARMでジャムに加工を予定しております。パープルスイートロードの栽培は5年以上やっていますので、どういう条件で美味しく栽培できるか私なりに成果もありますが、代々サツマイモを栽培されてきた田上家のやり方でさらに美味しい紫芋ができるかもしれず、いまは期待が膨らみます。

西原村の田上さんはご家族で農家をされていて、近く通信販売もされるようですが、現在は委託のみのようです。このページをごらんになって「田上さんのチンする焼き芋を欲しい」という方は私にお問い合わせください、田上さんの連絡先をお教えします。

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玉葱は干して、倍。

最近知ったのですが、玉ねぎの皮をむいて、天日に干すだけでケルセチンが数倍になるんだそうです。3日も干せば3倍、1週間で5倍程度に増えるとか。で、それくらい干したところで、玉ねぎの食感も風味も変わらないから、天日に干せるならば干さなきゃ損。

ということで早速ネットに入れて干しています。ケルセチンが増えたかどうかは味ではわからないのですが、ケルセチンは腎臓に良いらしいので、クレアチニン値が高い我が家の腎臓患者に食べさせようと思っています。

阿蘇の別荘地にお住まいの知り合いが玉ねぎの皮マニアで、それを干してお茶にして飲み続けたら「老眼がなおちゃったんだよ」と言っていたのを思い出しましたが、たしかにその方は老眼なしで書類を読んでいらした。七十歳を越えているのに、いまかんがえると玉ねぎパワーかも? ちなみに、その方は私よりも元気数十倍。

それにしても太陽に干すというのは、うちの黒ニンニクでもやっているのですが、当初の目的は味がよくなるからだったのですが、もしかしたら知らない間に栄養成分が倍増していたりするのかもしれません。ラッキー。

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農地を借りるということ

先日よりお伝えしていますが、当農園の共同経営者である妻が国指定の難病になってしまい、いまは自宅療養していて順調に回復軌道に乗っていますが、農作業をするほどに回復は見込めないので(世間に思われているよりも農作業は重労働)、事業計画を見直しています。現在1町(1万平米)の畑をお預かりしていますが、当面そのような面積を管理するのが難しく、宮地地区の畑はすべて返却することにしました。

この畑は、話せば長くなるような人の縁でお借りすることができた場所で、運が良かったということだけでは片付けられない、言うなれば運命的に管理させていただくことができた農地です。ここの畑をお貸しいただけたおかげで、にわかに「農家」を名乗ることができましたし、実際「農業」と呼べる規模で栽培できたのも、この農地があってこそでした。「農家になりたい」と何も知らない都会育ちの私に「農業とはなんぞや」を教えてくれたのも農業大学校なんかではなくこの畑ですし、阿蘇山の火山灰を浴びたのも野生動物の猛襲に遭ったのもこの畑、思い出ばかりです。

農地を返却するにあたって、私が気づいたこと。それは、農地を借りるということは、その地主の家族になるということです。先祖代々の畑を耕させてもらうということが、単に畑の貸し借りを越えてその家族の一員になるようなものなのだと、畑を返却する段になってようやく気がついたのです。それまでは「遊休農地を管理する」という点でギブアンドテイクみたいな気持ちでいた自分が恥ずかしくなりました。移住当初はそこらに放置された空き地を見ては「ちょっと貸してくれればいいのに」と思っていましたが、農地は単なる貸し借りの話ではなく、地主の家族の思い出や歴史を預かるようなものだと、いまさら理解しました。

私を取り巻く環境が変化しているのだから、変化はやむをえないです。ただ、変化するときにひとつまた気づくことがあって、地主さんが私に畑を託してくれたことに感謝しつつ、「農地を借りるということ」の意味や農地法に込められた想いなどを理解したような気がしました。ちなみに写真は畑をお借りする前の2014年、地主さんに現地の案内をしていただいたときのものです。

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きぬかつぎ(里芋)

里芋栽培にはいろいろな作型があるのですが、私のやり方はマルチビニールも使わず溝を掘って元肥と種芋を交互に並べていくジャガイモ式の栽培方法でやっています。この栽培の利点は、うねたてマルチ張りの工程が不要で、土寄せと同時にタイミングよくかつ絶妙な施肥感で追肥できることにあります。いっぽう欠点はマルチをしないので、手作業で雑草を定期的に取ってやらないとなりません・・・夏の炎天下にこの中腰作業は、ほとんど独裁国家の懲役刑並みの過酷労働です。しかし、手間をかけた分はしっかり美味しさで応えてくれるのが植物ですから、いわずもがな里芋もこの作型が一番美味しいと思っています。

というわけで本当のところ今年は里芋を栽培しないつもりだったのですが、農業大学校時代の同級生でもある西原村の有機農家さんがとても良い方で「そんなこと言わずに栽培しなっせ」と有機種芋をたくさん分けてくれたので、なんだかんだ本年も里芋栽培をしていたというわけです。今年は農繁期に家庭の事情(病気)で多忙を極めましたが、どうにか管理をしきったかな。栽培しているときには苦しく、不満も多い里芋栽培でしたが、こうして収穫してみるとやっぱり嬉しいです。それに味を追求した栽培だけに、泥臭くなく美味しい。

石川早生という種類の里芋で、関東では「きぬかつぎ」という蒸して食べるのが小粋な高級品ですが、こちら熊本では里芋といえば「煮るもの」と相場が決まっているようで、蒸したりせず「おでんの具にする」と聞いたときには文化の違いを感じたものでした。里芋のおでん・・・それって、ただの里芋汁じゃん。まあ、ことあるごとに「里芋を蒸して、きぬかつぎ」と吹聴してまわってきたおかげか、ちかいうちに「きぬかつぎ」名のパッケージ商品が九州圏で販売される予定です(私のビジネスではありませんが)。

写真は、規格外の廃棄里芋を自家消費で「きぬかつぎ」にしたところです。規格外でも、味は高級料亭に負けません。塩をつけて食べます。これにうまい日本酒があれば、なお良い感じです。贅沢。