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阿蘇烏龍

私が預かっている茶畑は標高450mくらい。台湾の凍頂山の茶畑が標高500m(~800m)程度というから、いうなれば阿蘇は日本の凍頂ダヨ・・・ということで、数年前からウーロン茶生産の研究を続けてきました。凍頂烏龍茶は微発酵のウーロン茶で、追熟テクノロジー(?)で香りを引き出したモダンなウーロン茶ですが、現在私のウーロン茶は半発酵以上の福建とかの鉄観音系烏龍茶を目指しています。

なんて偉そうに言いましたが、ど素人が見よう見真似で創めたジャパニーズ烏龍茶造りですので、試行錯誤の繰り返しだったりします。昔から台湾の凍頂烏龍茶が好きだったので、阿蘇に茶畑をお借りできてすぐに「凍頂を自作してみよう」ということになったのがきっかけ。書籍やネット情報が頼りでしたから、発酵しすぎて失敗、乾燥させすぎて失敗、なんだか理由がわからないけど失敗。失敗の連続。あるときは雲南省の沱茶みたいになって(といっても沱茶のように美味しくならず)、あるときはリプトン紅茶の出来損ない。それから紆余曲折を経て「うん、鉄観音も良いよね」などとヒトリゴトをつぶやくまでに至り、現在の阿蘇烏龍茶造りへとまい進している、真っ最中です。

そんなわけで今年も、性懲りもなく烏龍茶を造っています。今年はなんといっても茶摘をしてくれるメンバー(奥さん)がいないので、自分でせっせせっせと茶摘して作業しているのですが、当初は「1人で茶摘はきついだろう」と冬の間に茶摘ハサミを購入して万全の体制を整えていました。それが実際使用してみると、茶摘ハサミは手摘みに比べて「仕事が雑!」で枝とか要らない葉っぱも採れてしまうので、それを後で選別するほうが大変ということが判明。結局は手で摘むという原始的な方法で収穫しています。世の茶生産組合さんは立派な選別機とかいろいろお道具をお持ちかと思いますが、にわか弱小茶生産工場としましては設備投資には茶摘ハサミが予算限度の精一杯。その茶摘ハサミも選別機があってこそのお道具だと判明しまして、結局のところ「手摘み少量生産体制」を維持したままの烏龍茶生産なのであります。

また「PACAFARMの少量生産自慢」をしてしまいましたが、今年はその阿蘇烏龍茶を販売しようと思えばこその予防線・・・いくらで販売しようか、HOW MUCHというわけで、後のことは考えずにどんどん生産しています。仮に「阿蘇のウーロン茶? そぎゃんもんはいらんばいた」と通りすがりの人に言われても大丈夫。烏龍茶は無酸素状態で熟成が進むので、売れ残っても年々まろやかで美味しい烏龍茶になるから売れ残り在庫の恐怖はゼロなのです。事実、20年以上熟成させた烏龍茶はフルーツのような芳香を放つといわれていて高値で取引されているほどです。

話は長くなりましたが、ぜひとも、うちの阿蘇烏龍茶をお楽しみに!

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新・阿蘇ニンニク、できました。

思い返せば昨年の秋。1人せっせと播種して、ずっと面倒を見てきたニンニクです。農家なんだからそんなの当たり前だといわれればそれまでですが、このニンニクは私がたどり着いたベスト・クオリティのニンニク。秘策、鶏糞の少量追肥を複数回、雑草取りもかねて畑にはいつくばって、雨の日も風の日も見守り続けた子供のような存在です。厳しくするところは厳しく、甘やかすところは愛娘のごとく甘やかす阿蘇ニンニク栽培。大量生産では、こうはいきません。

まあ、正直に言えば大量生産ってウラヤマシイなという気持ちもあります。どんなに良かれと手塩にかけたところで「うまい、うまくない」は食べる人が決めることですから、言ってしまえばボクの努力などどうでもいい。それよりも、そこそこ安くて、それでいてまあまあ美味い、といった方向が世間や農政の役人にはほめてもらいやすいです。いっそのこと、機械化して薬を撒き散らしながらニンニク栽培して「むー、所得税って高い」などと愚痴ってみたいものです・・・でも。気づくと、こうして儲からないニンニク栽培を今年も続けているという次第です。

ヤニサガリ覇気のないそこらのおっさんに「儲からん儲からん言うとるけど、おたくのニンニクは高かもんね」と言われそうですが、高いです。スーパーの中国産と競って、安く売る気は微塵もありません。阿蘇の寒空、地面にはいつくばって追肥や除草をして、やっと収穫したニンニクを、おいそれと解らぬ人たちに食わせるほど、私は人間ができていません。願わくばPACAFARMの農法を心底理解してくれて、お金も「困っとるやろ、もってきなっせ」と手に握らせてくれるような、神様のようなお客様とともにありたい。

ということで、妄想のような阿蘇ニンニク栽培ではありますが、今年も(栽培期間中)無農薬&有機栽培の阿蘇ニンニクがやってきました。本日は試しに収穫してみた数株を整えて、明日あたりからGW真っ只中の皆様へ順次お届け予定です! どうぞ、よろしくお願いいたします。

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「青汁」って名前が気持ち悪い。

境野米子さんの『化学物質に頼らない自然暮らしの知恵袋』を読みまして、いまさらながら「青汁」に注目しています。ただ、青汁とは言っても世間に売られている乾燥粉末で「美味いとか不味いとか」を売りにしている製品ではなくミキサーで作る「生青汁」でして、昔で言うところの「野菜ジュース」というやつです。境野米子さんは甲田療法で膠原病を克服された方で、彼女によると5種類以上の野菜を生のままミックスして青汁にすると、野菜の酵素が腸内環境を整えて本来の免疫機構が取り戻される・・・みたいな内容のことをおっしゃっていて、なんだかよさそうだということで、うちでも俄かに「青汁」を始めたというわけです。

幸いうちには畑がありますから、青い野菜には事欠きません。ただ5種類となると、そんなに野菜ばかり栽培してもいられません。思い悩んでいたところ「野草でもかまわない」ということでしたので、タンポポやら野蒜やらを摘んできては品目に加えて特製青汁をこしらえています。タンポポは単品でも効能があるらしく、苦くて美味しくはないけれどもちょっとだけ加えています。

そもそも境野米子さんの実施した甲田療法とは「小食健康法」で医師の甲田光雄先生が考案した健康法ですが、これで病気を克服した人や体調を取り戻した人が多くいて、支持者も多い。でも、実践しようとすると案外過酷で、まあ平たく言うと「食べない正義」みたいな健康法ですから、内容を聞いただけでも苦しそうなんです。ネットを検索すると甲田療法自体を猛烈に嫌っている人とかもいて、あらあらという感じなのですが、でもよく考えてみると植物栽培していて思うのが「肥料をたくさんやれば良いってもんでもない」のは常識ですから、人間だって飽食であれば幸せというのもちょっと短絡的かなとおもったりしつつ、なにか「ソフト甲田療法」はないかなと、たどり着いたのが境野米子さんの本でした。

うちの野菜は農薬を使っていないことを商業上の自慢にしていますが、そう言いながら家内は新薬(化学薬品)がないとあっという間に死んでしまう病気にかかっています。四角四面に化学が悪いとは言いませんが、自然エネルギーを使った自助努力で元の体に戻れるならば、こういう青汁も無駄ではないかなと思っています。ちなみに市販の乾燥青汁はそれなりに効能はあるでしょうけれど、この療法では野菜の酵素が腸内に効くようなので、熱を加えたり乾燥させたものでは残念ながら役に立ちません。

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よき理解者。

うちが去年暮れから販売開始した『気緑茶』シリーズ第一弾の「ホーリーバジル」ですが、最初はまったく売れずだったのが最近リピートのお客様に少しずつ売れるようになって来ました。ホーリーバジルは“アダプトゲン”といってストレスを抑制して体内の免疫力を高めたりホルモンバランスを整えたりと、西洋医学的には眉唾に相当するようなアユールヴェーダのハーブではありますが、実際に花粉症の人とかが喜んで買っていかれるので、合っている人にはとても合っているハーブなのだと思います。まあ、薬事法の関係で効くとか効かないとか言ってはいけないので、お好きな方どうぞというかんじで売っています。

『気緑茶』はいわゆる生鮮野菜や食品と違って「健康食品」に類する商品なので、ただでさえ無農薬とか有機栽培とかニッチなデマンドに対して食品を供給しているPACAFARMとしては、さらにエッジを効かせた商品群になりますので、平たく言うと「必要なお客様にリーチしにくい」製品だと思っています。機能性があるハーブとはいってもクスリではないですし、効く人効かない人、法律もさることながら自然物ですから実際には合っている人には良いけれど、合わない人には「なんだこりゃ?」となりかねない。もともとうちのような有機農家のものは「高いくせに虫食いで汚い」とか意地の悪い評価をされがちなので、マーケットにおいては悪い印象を抱くお客様も多い。ので、私たちとしては「よき理解者」としてのお客様を積極的に探さないと、日々の奮闘・努力も甲斐なく涙涙の陽が落ちるようなことになりかねません。

で、もうちょっと認知度を上げたいという人並みの希望を求めて、常日頃より都会で売れないものかなどと考えたりしています。人が多くいれば、それだけうちの商品をお求めになる人に出会える可能性が高まる。大都市には自然食品・健康食品・マクロビオテック系のお店など多々あります。そんなお店にコンタクトをとってみると、中身のことより価格のことばかり訊ねられることがあります。PACAFARMの商品は大量生産ではない品質を目指しているので、なかなかバルクでの卸値ディスカウントの要求に応えることができません。親切そうな店の外観と裏腹「置いてやっても良いけどいくらで出せる?」と安くたたいてくるのはビジネスだから仕方がないとはわかっていますが、そのような店に買ってもらいたくもない。では、委託販売できるような産直店でこちらが価格と在庫の管理をできるのがベストなのですが、遠隔で商品管理をするのはとても難しいです。現在、熊本市内、福岡県など比較的近隣の店舗で委託販売をお願いさせていただいてますが、お店の方のご理解があって、それに私たちが甘える格好でようやく成立しているというのが実情だったりします。

東京都出身の私とて店をやっている知り合いが多いというわけでもありませんが、高校生のときから仲良くしている中目黒の画材店のせがれがいて、多少甘えても面倒をみてくれる友人がいます。画材店で野菜や食品を売って売れるわけないとは思っているのですが、毎年さくら祭りの季節になると「人がいっぱいくるから宣伝してやるよ」と親切に言ってくれます。そこで今年はPACAFARMの『気緑茶』と『天日干黒蒜(黒ニンニク)』を送りました。この数日、花見客に店頭で『気緑茶』の試飲をしてくれているとのこと。さくら祭りが終わっても手が空いているときなら一声かければ、試飲させてくれるそうです。雅光堂という中目黒の野沢通りと目黒川の交差点、都内に住んでれば必ず車で通るような一等地の交差点にあって、中目黒周辺の著名クリエイターら御用達の画材店です。良い店であり、良い人たちです。ぜひ足を運んでみてください。

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2019年のニンニク

ニンニクは農薬を使わないと栽培できないと思っている生産農家も多いですが、ここ阿蘇に限ってはクスリを使わずとも病気や害虫にやられたことはまったくありません。栽培を始めたころは(阿蘇の特殊な気候の条件の見極めができず)播種のタイミングがつかめなかったり、収穫の時期を理解していなかったことなどで苦労しましたが、いまではもうバッチリ、うまさと見た目の最大限を追求できるようになりました。

熊本県阿蘇は「九州だから暖かいに違いない」という思い込みを軽く裏切ってくれる、南の東北、つまり寒冷地です。夏はそこそこ30度以上になることもありますが、冬場は「最高気温が氷点下」の日も普通にあります。そんな気候ですからニンニクが育つ秋→春の期間の夜は極寒、日中はそこそこヒンヤリの気温サイクルを繰り返し、ニンニクは寒暖差にさらされて厳しく成長します。しかも青森のように雪が積もらないので、ニンニクは極寒に耐えるべく茎や葉に糖分を溜め込んで越冬します。この無慈悲な寒暖差が、ぬくぬく地方のニンニクとは一線を画す味を生み出し「香りの引き締まり具合」が微妙に優れたニンニクを生産できるのだと思います。

とにかく、この「寒さ」のおかげか病気にもかかりにくく、成長サイクルこそよそとは違いますが、タイミングを見極められるようになると、かなり高品質なニンニクが完成します。私はこのニンニクのことを「阿蘇ニンニク」と勝手に名づけて、なんとなく普及すれば良いなと思っています(一説には池波正太郎か誰かグルメ作家が「阿蘇のニンニクがうまい」と大昔に随筆を書いていたらしい)。農業環境の厳しい阿蘇には有機無農薬ニンニク栽培は非常に適していると思っているので、もっと阿蘇ニンニク(無農薬有機)の生産者が増えてくれると嬉しいのが本音です。

ほんとうはPACAFARMで機械化して大規模に阿蘇ニンニク栽培をしてもいいのかな、という気持ちもないわけではないのですが、その一方で目の届く範囲の小規模栽培を志向している面もありまして、結果的にうちは拡大とは逆に昨年からニンニク栽培を縮小することになりました。天下取りは、よそ様にお任せします。ということで、今年のPACAFARM謹製・阿蘇ニンニク販売は去年よりも量が少ない予定なので、5月ころ新ニンニクをお店で見かけたら即ゲットしてくださいね。美味しいですよ! ちなみに、この阿蘇ニンニクを使用した天日干し黒ニンニクは好評発売中、健康マニアの皆様にもおすすめです。